社交ダンス|スタンダードドレス:タンゴ
社交ダンスのスタンダード種目「タンゴ」を踊るためのドレスについてご紹介します。
ボールルームの競技会に参加される方はあえてタンゴ用のドレスを探す機会はあまりないと思います。教室のパーティーでデモ(デモンストレーション)を踊られる方にはタンゴ用のドレスを探される方がたくさんいらっしゃいます。
こちらの記事ではタンゴ用ドレスの特徴や選び方、フジタで過去にお作りしたタンゴにふさわしいドレスをいくつかご紹介いたします。
社交ダンス スタンダード種目のタンゴとは
タンゴと聞くと男女が脚をからませて踊る「アルゼンチン・タンゴ」を思い浮かべる方が一般的には多いと思います。
たしかにタンゴは19世紀にアルゼンチンの首都ブエノスアイレスで生まれた踊りだそうです。
南米、ラテンアメリカでは他にもサンバやルンバなどの踊りが発祥しましたが、なぜ「タンゴ」が社交ダンスのラテン種目ではなくスタンダード(ボールルーム)種目に分類されているかご存知でしょうか。
それは20世紀にタンゴの独特な音楽がフランスなどのヨーロッパで大流行したためです。ここで弦楽器の美しい音色に合わせて踊る「コンチネンタル・タンゴ」へと進化し、やがてワルツやスローフォックストロットとあわせてダンス競技会で踊られる種目に発展しました。
ボールルームの他の種目とはルーツが大きく異なるため、踊り方・テクニックについても大きな違いのあるタンゴ。情熱的で力強い音楽にあわせてドラマチックに踊る種目は、高齢のアマチュアダンサーにも大人気です。
タンゴ用ドレスの特徴
タンゴはダンスのムーブメントが機敏でスピーディーなため、タンゴ用にドレスを用意する場合はスカートの丈を他のボールルーム種目よりも短めに、フロートも大きなものは避ける傾向があります。
スカート丈について
もともとタンゴは他のボールルーム種目よりは短めのスカートで踊る方が多いのですが、近年プロダンサーにはそもそも短いスカートのドレスが大流行しています。
フジタでは、スタンダードドレスの丈は標準で床から12cmをおすすめしています。 長めがお好きな方には床上がり11cm、短めがお好きな方やタンゴを踊られる方には床上がり13cmをおすすめしています。 最近は競技会で短いドレスが流行しており、床上がり15cm以上のドレスも頻繁に見かけます。 |
足首が完全に見えているような短いスカートで踊るダンサーが増えており、フジタの店頭でも短いドレスを希望される方が増えてきました。
しかしながらフジタでは、ご自身の身長とのバランスを考えていただくようおすすめしております。
例えば欧米のダンサーですと、平均して高身長ですし、日本人より腰の位置もはるかに高い方が多いのが現実です。
そのためそもそも、欧米のダンサー向けに作られたドレスを日本人らしい体型の日本人が着ること自体が、とても難しいことだと考えています。
具体的に数字をあげるならば、身長が160cm以上の方であれば、欧米の選手並みに短いスカートのドレスを着ることも選択肢に入るかと思います。
しかし日本のアマチュアダンサーで、身長が150cm前後の方には、流行だからといって丈の短いドレスに走るのではなく、ご自身がもっとも美しく見える丈・バランスのドレスを試着してお探しいただきたいと考えております。
フロートについて
タンゴを踊る際は、フロートがスピーディーな動きの邪魔になることがあるため、まったくフロートを付けない方もいらっしゃいますし、付けても小さ目を好まれる方が多いです。
競技ダンサーは1着のドレスで全種目を踊るため、タンゴもワルツも同じドレスで踊ることになります。フロートだけはタンゴの際にはずしてしまったり、あるいは優雅に揺れる大きなフロートを腕にぐるぐると巻き付けて踊りの邪魔にならないようにする選手もいます。
フジタではフロートを取り外し式に変更するリフォームも承ります。もちろんフロートだけをまったく違うものに作り替えるリフォームも可能です。 例えばタンゴのデモ用のフロート、スローのデモ用のフロート、と2種類のフロートセットを用意しておいて、デモの度に交換するという方法も可能です。 |
ちなみに最近の流行として、アームやフロートに羽根をゴージャスに飾ったり、大きく立体的なフリルなどで装飾するドレスが多くみられます。
特に欧米の若い競技選手になると、腕の装飾に目を奪われてドレス本体が目に入らないほどです・・・
しかしこちらも、身長やボディバランスを考えていただきたいとフジタではご提案しております。
スカート丈と同様に、170cm以上の高身長が当たり前の欧米選手と同じドレスが、身長の低い日本人にもよく似合うというのはなかなか考えにくい話です。
身長が高ければリーチ(両腕を広げた指先から指先までの長さ)も当然長くなりますので、両腕に巨大な装飾を付けたり、長い羽根を飾っても、遠目から見た縦(身長)と横(ホールド)のバランスが極端に崩れたり変には見えないものです。(むしろ両腕の豪華な装飾で存在感が増し、周囲を圧倒する迫力を出せるのでしょう。)
身長とリーチの長さを考慮し、腕に立体的な飾りを付けたりゴージャスな羽根で飾る場合でも、欧米選手よりはサイズ感を小さくするなど、バランスをよく考えた工夫が必要だと思います。
タンゴ用ドレスのカラー
デモでタンゴを踊るためのドレスとしては「赤」が圧倒的に人気があります。しかし「タンゴ=赤」が定番だからといって、いつも同じではさすがに飽きてしまいます。。。
基本的には赤に限らず濃く・強いカラーであれば、タンゴにふさわしいとフジタでは考えております。
例えば黒、紫、サファイアなどの濃い青、濃いグリーンなどです。
ただし黒に関しては先生やリーダーの燕尾服と同じ色になってしまうため、デモでは黒が大人気とは言い難いのが実情です。
タンゴが大好きで毎年デモはタンゴ!という方でも、ドレスは毎回違ったイメージで、とお考えになるものです。
タンゴの曲目にもいろいろありますので、曲目にあわせて濃いカラーの中でもパープル、サファイア、エメラルド、カプチーノなど赤以外のカラーをお試しいただくことをおすすめいたします。
また、コントラストの強いカラーの組み合わせで印象をガラっと変えることも人気があります。例えばイエロー×黒、ネイビー×白のようにコントラストが楽しめるドレスもぜひお試しください。
もしタンゴに最適な真っ赤なドレスをお持ちの場合、毎年続けて同じドレスではちょっと・・・とお考えの場合に、まったく異なる色、特にコントラストを楽しめるドレスなどを間に挟んで踊っていただき、隔年でお持ちの赤いドレスをお使いになる方法も人気があります。
タンゴらしいドレスのいろいろ
フジタでこれまでに製作したタンゴらしいドレスをいくつかご紹介いたします。
赤が定番ではありますが、紫やサファイアブルー、濃いグリーンなど力強さを感じるカラーが人気です。
強いコントラストでインパクトを与えるドレスも好評です。
タンゴが大好きで年に一度は必ずタンゴのデモを踊るというお客様には、タンゴ用ドレスのフルオーダーもご利用いただいております。(フジタのフルオーダーについてはこちらをご覧ください)
もちろん一度だけ踊ってフジタにお返しいただくオーダーレンタルでも、タンゴ用ドレスをこだわりのデザインから製作することが可能です。(オーダーレンタルドレスについてはこちらをご覧ください)
ベーシックカラー
個性的なドレス
メドレー用
最近はデモでメドレーを踊られる方が多くなりました。
スタンダード種目のメドレーであれば、スタンダードドレスの中からお選びいただいております。
ワルツとタンゴのメドレー、スローとクイックとタンゴのメドレーなどなど、ベテランダンサーには先生の要求もどんどん高くなるようです・・・
1曲・1種目のデモ用にドレスをレンタルする場合には、当然その踊りにぴったり合わせたドレスを選ぶことになりますが、メドレーになると悩ましいところです。
例えばタンゴとワルツは対極にあるようなドレスのイメージですが、いかにそれを組み合わせたドレスを選ぶか。
いくつか参考になるドレスをご紹介いたします。
ドレス選びで最も大切なこと
最後に、ドレスを選ぶ際にもっとも気を付けていただきたいことをお伝えします。
社交ダンス用のドレスは、お身体にぴったりとサイズが合っていることが何よりも大切です。
社交ダンスはスポーツダンスと呼ばれることもあり、フジタでは社交ダンス用ドレスをスポーツのユニフォームだと考えています。
踊り(動き)を妨げず、逆に踊りをより上手に見せてくれるユニフォームは、サイズが合っていることが大前提です。
特に社交ダンスでは腰まわりのフィット感がとりわけ大切で、ゆるゆるのドレスの中で身体だけがくるくるとまわってしまうような衣装では、せっかくのダンスを台無しにしてしまいます。
一生懸命練習して本番に臨んでも、ドレスが踊りを妨げてしまうのでは本当に残念です。
ぜひお身体にぴったりと合う、とっておきのお衣装をお探しください。
※「踊りを生かすドレス」についてはこちらの記事で解説しています。ドレス選びの前に、ぜひご覧ください。
タンゴの衣装について、参考になりましたでしょうか。
キレのよい踊りはスタンダード種目の中でも人気があり、パーティーでタンゴのデモを踊られる方も多くいらっしゃいます。
情熱的なタンゴを存分にお楽しみいただけるよう、フジタではタンゴにふさわしい強めカラーのドレスもたくさんご用意しております。
タンゴ用のドレスをお探しの際は、ぜひお気軽にフジタ本店までご相談ください。
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※店舗のご案内ページはこちら
ブログ監修者
川合 真桜子
(かわい まおこ)
ダンサー、オペラ歌手。 JDCプロフェッショナルラテンアメリカン元B級 EJBDFプロフェッショナルラテンアメリカンB級、プロフェッショナルスタンダードC級 東京音楽大学 声楽演奏家コース卒業。 同大学院修士課程オペラ研究領域修了。 東京二期会オペラ研修所予科特待生、本科特待生、本科修了時に奨励賞受賞、マスタークラス特待生。 これまでに「コジ・ファン・トゥッテ」よりデスピーナ役、「秘密の結婚」よりカロリーナ役、「魔笛」よりパパゲーナ役、「ドン・ジョヴァンニ(抜粋)」よりドンナ・アンナ役等を演じる。 2019年よりフジタのスタッフとしても就業中。